ネットワークの普及と教育改革の波に押されて、日本の大学でもe-learningを本格使用するための準備を進めるところが増えています。既に実施している大学では、学生から「無いよりはまし」、「復習に役立つ」などの声が多く聞かれるようです。どうすればe-learningを上手に役立てることができるのでしょうか。
一般に学習は下図のように、3つの過程に分けることができるといわれています。第1は、学習者が知らなかった課題について説明を受けたり観察したりして、新しい概念を獲得する過程です。第2は獲得した知識を定着させ、応用できるようにするために、テストや実験によって問題解決を行う訓練過程です。第3は問題解決の結果から学習者の理解度を評価して、もっと課題の説明や問題解決を続けるか、新しい課題に移るかを決定する評価過程です。
e-learningのコンテンツを選ぶときは、3つの過程のそれぞれに注意する必要があります。概念獲得過程では、テキストやアニメーションの検索、参照、抽出などの操作機能を備えているものが良いでしょう。セマンティックウエブを使って記述されたものは、この機能に加え、優れたマルチベンダー性をもっています。訓練過程では、個人差が大きい学習者の誤解や疑問点などに対応する柔軟さが必要で、問題解決時に質問応答ができ、問題や実験の難易度と学習記録が学習者に開示されると非常に有用です。知識処理技術を使ったものはこの点で高い能力を持っています。学習の評価過程では、どのような方法を使っているか、信頼度はどの程度かを調べることが大切です。
もちろん、e-learningの学習に、常に三つの過程を含む必要はありません。用途に応じて、必要な部分を組み合わせて利用すればよいわけです。第1過程ではベテランの教師による講義に、コンテンツの検索分類などの機能を利用すると、応用例、経験談なども手軽に参照でき、分からない部分を詳しく調べることもできます。もちろん、この知識獲得過程は、復習にも、独学にも大いに役立つはずです。
語学やパソコン、プログラミングなどの入門学習では、反復練習が重要な役割を果たします。訓練過程を中心に学習し、評価過程で習熟度の評価を行えば、反復練習の効果をあげることができます。
ぜひ、e-learningのコンテンツを上手に選んで、みんなで効果的に使う方法を工夫し、広く経験を交流し合いましょう。
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