CSIネットワークマスター 虎の穴 市民公開講座 in 高知

〜次世代インターネット(IPv6)によるイノベーション〜

第1部

 

 

テーマ
講師


次世代インターネット(IPv6)移行へのシナリオ(IPv6への移行とその課題)
加藤 朗 氏(慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科 教授)

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第2部

 

 

テーマ
講師


次世代インターネット(IPv6)が拓く新しい世界(IPv4枯渇問題)
荒野 高志 氏(株式会社インテック・ネットコア 代表取締役社長)

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第3部

 

 

テーマ
講師


高知における次世代インターネット(IPv6)の取組み
菊池  豊 氏(高知工科大学総合研究所 准教授)
今井一雅 氏(高知工業高等専門学校 電気工学科 教授)

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開催を終えて 〜レポート&開催風景〜

2008年9月13日(土)「CSIネットワークマスター 虎の穴 市民公開講座」を、高知市高知サンライズホテルにて開催いたしました。本講座では、「次世代インターネット(IPv6)によるイノベーション」をテーマに3部構成で、慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科 教授 加藤 朗 様、株式会社インテック・ネットコア 代表取締役社長 荒野 高志 様、高知工科大学総合研究所 准教授 菊池 豊 様、高知工業高等専門学校 電気工学科 教授 今井一雅 様の4名の方々にご講演を頂き、約50名の方が参加されました。
はじめに主催の特定非営利活動法人 中国・四国インターネット協議会(以下、CSI)理事 西村浩二より、開催挨拶を行いました。冒頭でCSI理事西村浩二氏より、ご挨拶と共にこれまでの敬意や開催目的に加え本講座が本日、高知で終了することについての説明がありました。

西村氏 会場風景

【セミナー第1部】

・次世代インターネット(IPv6)移行へのシナリオ

慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科 教授 加藤 朗 氏より、「DNSとIPv6: 〜IPv6への移行とその課題〜」と題し、ご講演いただきました。
まずIPv4のアドレス枯渇の多少の延滞は可能だが未来永劫大丈夫だとは思えない。しかしIPv6への移行にはコストはかかる為、当分はIPv4とIPv6を併用して最終的にはIPv6へ移行すると思われるとの見解を述べられました。 今回は移行を前提として初心者にもわかりやすいようにDNSの概要から詳しく丁寧に解説いただきました。
次にDNSとIPv6のサポート方法について、Class"IN"を選択された流れと、IPv6への移行へのDNSの問題点について述べられました。IPv6のアドレス表現については、2001年のIETFの話を混ぜながらAAAAを使用することになった経緯の説明があり、UDPを使用する理由についてはTCPを使用した場合と比較しながら述べられました。その他、問題点として取り上げられているメッセージ長の対策としてDNS拡張オプションEDNS0の説明、Name Splitの対応策としてIPv6に移行後もDNSサーバにはIPv4があることが重要であると述べられました。

加藤氏

次にRootサーバについての概要の説明、Anycastingについての解説がありました。RootサーバのIPv6対応について長く議論されている危惧されている点と、対応の経緯や稼働状況についても解説されました。2008年2月4日に6つのルートサーバーが対応を表明、M-Rootでは2008年1月中旬に東京(3)、サンフランシスコ、パリでAnycastがIPv6で対応を完了したとのことです。現在の状況については、順調に稼動しており特に問題も報告されていないとのこと。M-RootでのIPv6による問い合わせはパリのサーバで処理されていて残りは東京とのことでした。(アメリカでIPv6の活動が弱いことではないとのこと)。最後にIPv6対応に関する別な懸念について多くのサーバではIPv4のみ対応している状況で、IPv6にはまだ対応できていない。その他の懸念事項についても見解を述べられました。

【セミナー第2部】

・次世代インターネット(IPv6)が拓く新しい世界

第2部では株式会社インテック・ネットコア 代表取締役社長 荒野 高志 氏に「IPv4枯渇問題とIPv6について」と題し、ご講演を頂きました。枯渇問題についてGeoff HustonやJPNICの予測図を用いてご説明いただきました。次に対応策の1つである、アドレスの再利用について解説いただきましたが、返却は旧クラスAで4個分程度であり現状ではとても追いつけないとのこと。IPv6の導入が唯一、全体的で永続的な対策だと見解を述べられました。枯渇問題については、新規事業者など枯渇で困る企業、枯渇しても困らない企業などで企業により対応がバラバラの状況の為、それが全体のコスト高を生んでしまう問題があるとの述べられました。枯渇後IPv4とIPv6の混在状況になり、二重構造が生じるのでデーターセンターが一番困るのではないかと思われるが、問題は技術的課題をじっくり解決する時間がなく以前考えられていた解決方法だけでは役に立たない状況で課題を洗いなおす必要があるとのことでした。

荒野氏

続いて現在のIPv6の商用化や実利用についてご紹介をいただきました。Windows VistaでのIPv6標準対応。マルチキャスト技術の利用によるNTT東日本による地震速報、ファミリーマートによるキオスク端末、ビル管理システムによる利用状況や国防総省等の導入事例をご紹介いただきました。
時代の変革期にインターネットが果たす役割として、IPv6によるアドレス量の多さを上げられ、モノとモノが綱がらるようになり、それにより消費者からもたらされる細かな情報を企画やマーケティングに活かすことができるようになる。次のサービス産業への発展が可能になり、新たなビジネスチャンスを生まれる可能性を示唆されました。最後に、今後のイノベーションに期待すると述べられていました

【セミナー第3部】

・高知におけるIPv6の取組み

第三部のお一人目は高知工科大学総合研究所 准教授 菊池 豊 氏に「地域IXにおけるIPv6の取組み」と題しお話を頂きました。まず「IPv6の世界を想像しよう」とIPv6に移行した場合を想定して、このようなことができるようになると例題を用いながらのご説明を頂きました。IPv6のコンテンツの解説、菊池氏の会社でもある有限会社ナインレイヤーズのIPv6のサービス内容のご紹介があり、IPv6を運用されての感想が述べられました。管理負荷は思っていた以上に多く、継続的にノウハウの蓄積が必要されているとのこと。技術者の交流が地域内では不十分で今後、どうしていくかも課題の1つでもあると述べられていました。

菊池氏 今井氏

お二人目はCSIの運営委員でもある高知工業高等専門学校 電気工学科 教授 今井一雅 氏に「高知県IPv6研究会の活動について」と題し、お話を頂きました。
高知県IPv6研究会は2007年6月23日発足。研究会の目的は高知県の産官学を集結したIPv6応用技術開発の為の情報共有の場を設けることであり、個人の自由参加型の研究会でNetCommonsにより情報共有をされているとのことです。活動はIPv6でできる事とし、組み込み制御技術の研究、ビデオストリーミング配信技術の研究、次世代モバイル情報端末やマルチキャストの研究等行われている。又、2008年4月より全国の高専では初めてとなる教育用パソコン(158台)でのIPv6接続環境が実現され、IPv6の接続環境での授業内容をご紹介いただきました。

高知での開催は今回が最後になりますが、次回"CSI 公開シンポジウム Final"〜インターネットの更なる飛躍を願って〜を10月24日に広島県で開催し締めくくりとする予定です。
参加費は無料。
http://www.csi.ad.jp/seminar/openseminar06.html

多くの皆様のご参加をお待ちしています。

お問い合わせ先

CSI事務局 セミナー担当:宮本

セミナー専用Tel:090-7772-5114 (受付時間 平日10:00-18:00)
e-mail:seminar-sec[at]csi.ad.jp

主催:特定非営利活動法人 中国・四国インターネット協議会(CSI)