CSI ネットワークマスター 虎の穴 市民公開講座
盛り上げろ!広島!〜情報技術活用とビジネス展開〜

テーマ

「がんばれ、広島ITベンチャーズ!」

講師

湯ア英彦氏
(株式会社アッカ・ネットワークス 代表取締役副社長・副社長執行役員)

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テーマ

「チャンスは、むしろ、この数年」

講師

杉原章郎氏
(楽天株式会社 取締役 常務執行役員)


テーマ

「情報技術革命の本質 −我々は何をすれば良いのか」

講師

土本康生氏
(慶應義塾大学 政策・メディア研究科 特別研究講師 アジア工科大学院 intERLab 客員講師 博士(政策・メディア))

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開催を終えて 〜レポート&開催風景〜

1月17日、広島・広島国際会議場にて地域における情報技術活用とビジネス展開について議論する 「CSI ネットワークマスター 虎の穴 市民公開講座」を開催し、広島ご出身でかつ日本を代表する IT業界の方々にご講演いただきました。

はじめに主催の特定非営利活動法人 中国・四国インターネット協議会(以下、CSI)、理事の 吉田典可より、開催挨拶を行いました。

「『CSI ネットワークマスター 虎の穴』技術セミナーは、最先端の技術について勉強していただく 機会を提供するべく開催してきています。今回の市民講座はより幅広い皆様に、情報技術の最新動向に 触れていただきたいという思いで開催しました。CSIは、今後とも市民の皆様に向けて情報技術の 普及・啓蒙活動を行っています。」

『がんばれ、広島ITベンチャーズ!』
 株式会社アッカ・ネットワークス 代表取締役副社長 湯崎 英彦氏

湯崎氏は、はじめにアッカ・ネットワークスがベンチャー企業として歩んできた歩みについて ご説明されました。アッカ・ネットワークスは企業後3年で単年度黒字を出しておられ、 これは、M&Aなどを行っていない企業としてはかなり秀逸な業績だということです。

アッカ・ネットワーク創業当時は、ちょうどNTTの施設が競合企業に開放される時期で、当時通産省に 在籍していた湯崎氏には確実に成長する市場というものが見えていたといいます。 しかしながら、会社を立ち上げた経験もビジネスを行った経験も無かった当時の湯崎氏にとって、 起業することは周囲からの反対もかなり多かったそうです。しかし、 湯崎氏は悩んだ末に起業を決意されました

"必要なリソースを集めること"

起業するにあたり、湯崎氏は業務に必要なリソースの確保に全力を注がれたそうです。 ここで湯崎氏は、 「何もなくてもベンチャーはできる。ある⇒つくる⇒もらう⇒かりる⇒かうを見極め、リソースを 確保することが大切」といいます。 「ベンチャー企業には恥じも外聞もないのだから、なければ『もらう』『借りる』など 周りのリソースも積極的に活用させてもらった」

"起業に必要なのはアイデアよりも、むしろ実行力"

「起業家は斬新なアイデアを思いつく必要がある。」多くの方がそのようなイメージを抱きがちですが、 湯崎氏はそうは思わないそうです。むしろ、起業家に必要なものは実行力だといいます。 「アイデアというものは、自分がいかに素晴らしいと思っていても大体他に同じようなことを 考える人がいるもの。しかし、それを実行に移す人が限りなく少ない。まずは実行することが 一番大切なのだと思う。」 また「天才よりも凡才」の方が成功するのではないかと考えているといいます。 「天才は何でも自分が把握していないと気がすまないが、凡才は全てを自分で掌握できないから 人に任せなければならない。幾ら天才でも自分一人でできることは限られており、ビジネスを 拡大するためには人に任せることができなければならない。」

最後に湯崎氏は「ベンチャーというのはすごく難しいと思われがちである。 しかし、実は実行力が非常に重要であり、それ程難しいことは必要ではない。 当然、広島(またはその他の地域)でもベンチャー起業することは十分に可能である。 むしろ、広島は人・技術・生活環境ともに水準が高く、ベンチャーの可能性は高いのではないか。」 と考えを述べられました。

『チャンスは、むしろ、この数年』
  楽天株式会社 取締役常務執行役員 杉原 章郎氏

杉原氏は、はじめにECショップ、アフィリエイト、ASPサービスなどのWebサービスを挙げ、 「現在、ネットビジネスは多種多様になっている。また以前と比べ採算が取れるビジネスも増えてきた。」 と述べられました。楽天は10年前に10坪の事務所、総勢6名で起業されました。創業当時は月間32万円の 流通量しかない会社で、それが今や月間510億円の流通量(2006年12月)を誇るまでに成長されたそうです。グローバルにみても、インターネット企業の中で楽天は時価総額10位以内に入っており、これは日本で唯一なのだということです。 インターネットビジネスの先駆者たる楽天の創業メンバーである杉原氏ですが、 今からインターネットビジネスを始めるにあたり、「出遅れた」と考る必要はないと 考えているそうです。「ハード・ソフトともに様々な低価格サービスが出揃ってきた。 採算が取れるようになってきた今参戦できるということは、我々のように採算が取れない時期を 経験しなくても済むのでむしろプラスである」

"最先端の技術より、むしろ枯れた技術を活用"

一般的に、技術者の方々(特に優秀な方)は最新の技術を使った独自性の高いサービスを追及する方向に 向きがちであると杉原氏は思われるそうです。しかしながら、楽天の考えは異なっており、 「最先端の技術を使ったサービスよりも技術的には枯れてきた、みんなが使用して既に慣れている技術を 使ったサービスを使っていただくことを考えている」といいます。そうすることで技術に対する垣根を 取り払う努力が不要になるということです。そして2007年度に向けて、今楽天が最も注目しているものは 「携帯電話」だということです。今までも「携帯電話」は注目されてきていますが、 2007年度が携帯電話上での流通総額が最も伸びる年だと考えているということです。

"成功のサイクル"

事業を起こす際は以下のサイクルで、考えたアイデアをビルドアップしていくといいます。 ネタをモデル化 ⇒ モデルを仕様化 ⇒ 仕様をシステム化 ⇒ システムをリリース ⇒ オペレーションとチューニング ⇒ 転換と再構築 ⇒ モデルのリストラ・新モデルへのシステム対応 アイデアをいかにスマートな業務体系(サービス体系)に結びつけることができるかが大事なことだということです。

"成功のキーワード"

最後に、杉原氏は成功するキーワードとして、以下を挙げられました。 「それは人のポテンシャルにエナジー注入できるサービスですか?」 もう少し分かりやすく言うと、提供するサービスは提供される側の人が 「何か自分で頑張ることができるツール」であるかということです。杉原氏はサービスを考える際には 常にこの着眼点で判断すると述べられました。

"大物ゲスト 村井先生飛び入り参加"

このたびのCSI ネットワークマスター 虎の穴 市民講座は、『Advanced Internet Tour in Hiroshima,2007』 という最先端インターネット技術を対象とした国内外のイベントの一環として開催されました。 そこで別の会議で講演されていた慶応大学教授村井純氏が急遽飛び入り参加され、広島への熱い思いを 語っていただきました。(村井氏の祖父が広島県ご出身だということです)

『情報技術革命の本質 −我々は何をすれば良いのか』
 慶應義塾大学 政策・メディア研究科 特別研究講師 土本 康生氏

土本氏は、はじめに「情報技術革命って何だろう?」と会場に問いかけました。続いて、 「インターネットを使うことで世の中は便利になったけれど、実は本質的な営みは何も変わって いないんじゃないか」とも述べられました。電子メール、チャット、IP電話、 インターネットショッピング・・・色々と便利にはなったけれども確かに元々あったものが 置き換えられてより便利になっただけともいえます。

"情報技術革命の本質"

土本氏は「電信は文字をデジタル化し電気信号による伝達を可能にした。電話は音声情報を 伝達できるようになった。そしてコンピュータはあらゆる情報をデジタルで取り扱うことができ、 あらゆるデジタル情報をインターネットで流通させることができるようになった」 と情報化の推移を説明されました。そして、情報技術革命の本質とは、『すべてのものを デジタルで表現する』『すべてのものをコンピュータで扱う』『すべてのものがインターネットで 流通できる』という3点であると述べられました。

"情報技術活用のポイント"

情報技術は世の中を大きく変えたように見えるが、やっていること自体は大きくは変化していないと 土本氏はいいます。そして、だからこそ身の回りをよく見ることが重要だと指摘されました。 身の回りのすでに存在することでまだデジタルで表されていない情報、処理されていない情報こそ、 情報技術が活用できるポイントだといいます。

「いまあるものをより便利にするのが情報技術の役割であり、自らの事業を情報技術でサポートすることを まずは考えてみてはどうだろう」と考えを述べられました。

『オープンディスカッション』

お三方のご講演の後に、参加者を交えたオープンディスカッションを開催いたしました。 議題は、それぞれご講演いただいた内容より以下の3点を取り上げました。

議題1.広島におけるベンチャービジネスの可能性

議題2.広島におけるネットを活用したビジネスの創造

議題3.広島における情報技術の活用

ディスカッションの内容はこちらをご参照ください。

「CSI ネットワークマスター 虎の穴」は、特的非営利活動法人中国・四国インターネット協議会 (所在地:広島市中区上八丁堀、理事長:椿康和以下、CSI)がインターネット技術に関する 人材育成や地域活性化を目的として開催している定期セミナーです。CSIは、中国・四国地域における 情報通信基盤の発展に貢献することを目指して普及・啓蒙活動を行っています。 次回のCSI ネットワークマスター 虎の穴 は技術定期セミナーとして4月に開催する予定です。

お問い合わせ先

CSI事務局 セミナー担当:池上

セミナー専用Tel:090-7772-5114 (受付時間 平日10:00-18:00)
e-mail:seminar-sec[at]csi.ad.jp

主催:特定非営利活動法人 中国・四国インターネット協議会(CSI)