"CSI 公開シンポジウム Final"

〜インターネットの更なる飛躍を願って〜

第1部

 

 

テーマ
講師


CSIの歴史
椿 康和 氏(広島大学大学院 社会科学研究科マネジメント専攻 会計・情報講座 教授)
(特定非営利活動法人 中国・四国インターネット協議会 (CSI) 理事長)

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第2部

 

 

テーマ
講師


基調講演1 「情報薬による戦略的防衛医療構想」
辰巳 治之 氏(札幌医科大学 大学院医学研究科 生体情報形態学 教授)

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第3部

 

 

テーマ
講師


基調講演2 「インターネットのグローバル展開」
村井 純 氏(学校法人慶應義塾 常任理事・慶應義塾大学 環境情報学部 教授)

第4部

 

 

テーマ
講師


Post-CSI
相原 玲二 氏(広島大学 情報メディア教育研究センター情報基盤研究部門 教授)
(特定非営利活動法人 中国・四国インターネット協議会 (CSI) 副理事長)

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開催を終えて 〜レポート&開催風景〜

特定非営利活動法人 中国・四国インターネット協議会(CSI)は、本年末をもっての活動を停止し、法人組織を解散することといたしました。そして、今回「CSIネットワークマスター 虎の穴市民公開講座」シリーズの最終回として、「"CSI 公開シンポジウム Final" 〜インターネットの更なる飛躍を願って〜」を、2008年10月24日(金)、広島市ホテルグランヴィア広島にて開催いたしました。

これまでご支援頂いた方々を数多くお招きし、CSI活動を振り返るとともに、これから地域における情報ネットワーク活用のありかたを考えるための、締めくくりにふさわしいシンポジウムになりました。約160名の方が参加されました。

また、講師として、1994年9月に開催されたCSI Forumにてご講演頂いた、札幌医科大学 大学院 医学研究科 生体情報形態学 教授 辰巳 治之氏と学校法人慶應義塾 常任理事・慶應義塾大学 環境情報学部 教授 村井 純氏を再びお招きし、基調講演を頂きました。

【セミナー第1部】

・CSIの歴史

はじめに、CSI理事長の椿 康和より開会の挨拶をに続き、「CSIの歴史」と題し、CSIの立ち上げ、組織化、課題と活動について大きく三つのステージに分け、インターネットの急成長と共に歩んできたこれまでの15年間について述べました。

・地域ネットワークの時代(1993年-1999年)

地域ネットワークが誕生する前、1987年よりいくつかの全国プロジェクトがIPによる実験ネットワーク接続を開始しました。トラフィックの増加によりボランティアによる運用に限界が感じられ、1993年4月にJPNICの発足をもとに日本でのインターネットの展開に対する管理体制の構築がされました。これをきに1992-1993年に10組織程度の地域ネットワークが誕生しました。1993年3月に登場したCSIは、発足後、約5年間会員組織に対する接続サービスとともに普及・啓発活動を中心に行いました。思い出深いものとしては、1995年のヒロシマライブプロジェクト(原爆中継)と小学校とのインターネット接続を目標に展開された100校プロジェクト(1994年−96年)があります。

・NPO法人によるISPサービス(1999年-2004年)

地域ネットワークの運営・運用を維持する課題とインターネット環境の急激な変化によって、1997年-1998年頃になると、地域ネットワークの変化が求めらるようになりました。これを背景とした地域の情報通信基盤強化が新たな目標になり、1999年9月にNPO法人として認証されました。法人化の狙いは「脱ボランティア」であり、本格的なISP事業の展開と共に地域内で情報をコントロールするためのIX機能を提供しました。事業モデルとしてISP事業の収益を研修事業へ展開し、地域の普及・啓発支援体制を確立しました。

・Super CSI(2004年-2008年)

4年間展開された接続サービス事業の限界が見えだしました。技術革新(広域イーサネットへの移行、ブロードバンド化など)、経営的な要求に続けて答えることが難しいと判断され、2004年3月ISP事業を撤退しNTT西日本グループに委託されました。その後、2004年4月以降SuperCSIネットワーク(広域イーサネット網による次世代ネットワーク)の活用支援、IPv6接続などの新サービス導入支援と技術的なサポートを中心に活動を再開しました。2005年より「虎の穴」の技術セミナー講座を開講し、地域技術者の育成とともに技術動向を地域社会へ提供する目的で3年間で約20回セミナーを実施しました。

インターネットはこれからどこへ向かうべきか、地域活性化をテーマに今後の取り組みについて一緒に考えていきたいと述べ講演を終えました。


続きまして、広島市副市長/CIO(最高情報責任者) 豊田 麻子氏より来賓のご挨拶を頂きました。前職の独立行政法人 情報通信研究機構(NICT)によって運営されていたJGN2の研究開発ネットワークは、CSIの活動に大きく支援されたと、感謝の気持ちを述べられました。広島市としてはこれまでのCSIの様々な活動が、地域情報通信基盤の構築と利用促進に大きく貢献したと話されました。小学校の接続支援、研究開発、IPv6普及活動、技術者育成事業など地域の活性化に繋がる有意義な活動を数多く提供されたことを高く評価するとともに、今後の取り組みについての期待を述べられました。

椿 康和 氏 豊田 麻子氏

【セミナー第2部】

・基調講演1 「情報薬による戦略的防衛医療構想」

第2部では、札幌医科大学 大学院医学研究科 生体情報形態学 教授 辰巳治之様より「情報薬による戦略的防衛医療構想」と題し、次世代医療に必要とされる早期発見・早期治療のカギとなる「情報薬」の構想についてご解説いただきました。

辰巳 治之 氏

【セミナー第3部】

・基調講演2 「インターネットのグローバル展開」

第3部では、学校法人慶應義塾 常任理事・慶應義塾大学 環境情報学部 教授の村井 純様より「インターネットのグローバル展開」と題し、ご講演をいただきました。国内最初のIP接続から来年で20年になるということもあり、インターネットで利用される技術の標準化を策定する組織-IETF(Internet Engineering Task Force)の会合が来年11月広島にて開催されることをご説明いただきました。

デジタルラジオ、IPTV、ワンセグ、IP衛星など、様々な実証実験を紹介しながら日本のインターネットが最先端であることを意識するとともに、来年のIETF Meetingでの実験を通じて日本のインターネットの面白さを海外の参加者に感じてもらえるようチャレンジすべきと述べられました。

1989年1月7日、IP over X.25のトライアルにおいて成功を収めた、国内はじめてのIP接続から、来年2009年で20年になります。その記念すべき20年目の年に、広島にてIETF が開催されることになりました。この20年の間、初期段階からCSIと関わり、95年からはじめた遠隔授業、IPv6のプロトコルスタック開発など様々な開発プロジェクト、様々な実験活動を行ってきました。今日の素晴らしい日本のインターネット環境を作り上げた事を意識し、日本の研究者は世界に向けて挑戦する使命があるのです。

・日本のブロードバンド環境の良さ

最近テレビメーカー各社が共同で立ち上げた「actvila」が12MBの環境でHD オンデマンド映画ダウンロードサービスを開始。日本唯一のサービスです。

・研究の協力環境の良さ

国内の主な商用ISPが、研究用に大学のプロジェクトに「residential broadband traffic」 の統計データを提供するという事は、他国では考えられない事です。

現在のインターネット環境であるからこそ、日本で行われている研究や実験は可能であり、HDでのIPv6 マルチキャスト中継などが行えるのです。最近行った研究・実験の中でも大変興味深かったのは、7月の洞爺湖G8サミットでのマルチワンセグ実験でした。NHKの協力を得て、参加8カ国のテレビニュース放送の再送信権を得た上、IPで放送コンテンツを北海道まで運び、プレスセンターと宿泊施設周りにアンテナを設置。実験用のマルチワンセグ対応携帯端末を世界各国の報道関係者200名へ配り、サミット期間中参加8カ国のニューズ番組を流しました。報道関係者は自分が準備したニュースレポートをその場で確認するなど、感謝とともに大変高い評価をいただきました。

続けて、今後の日本のインターネットの展望について「時差」と「latency(遅延)」をキーワードに、日本を中心にしたインターネット構想についてご解説いただきました。

インターネットを使って世界とビジネス、教育、文化交流の場を作るのに、時差と通信品質の問題は避けられません。通信と活動においてアメリカをフォーカスするだけではなく、アジア、インド、中東、アフリカに目を向け、日本を中心としたインターネットの発想が必要になるでしょう。現在日本-シンガポール-チェンナイ(インド)-ムンバイ(インド)-ドバイ-アフリカの東海岸を10GBで繋ぐプロジェクトを進めています。例えば中東では、日中の暑さを避けるため、勤務時間が早朝から始まるため、時差の影響を受ることなく一緒に仕事ができるのです。

最後に、2002年横浜にて行ったアジア初の54th IETF Meeting の様子を振りかえてみました。海外から参加する約800名のインターネットエキスパートに、日本の最先端のインターネット技術の見せようと、成田から横浜へ走る成田エキスプレスの車両内無線LANを実験的にIETFの期間中提供しました。モバイルルーターの設置など当時は大変苦労をしましたが、IETF参加者からは高い評価を得ました。

また、来年広島にて開催される76th IETF Meeting ではCSIのメンバーを中心に日本ならではのインターネット技術を「見せてやれ!」と期待を込めた応援メッセージをいただき、講演を終えました。日本のインターネットの現状とこれからの使命について印象に残る基調講演をいただきました。

村井 純 氏 会場風景

【セミナー第4部】

・Post-CSI

最後に「今日までそして明日から」と題し、CSI副理事長の相原 玲二より過去を振り返って初心に帰ると述べ、20年間のあゆみを再確認しながら、CSIの今後の活動予定について講演を致しました。

1990年7月には、中国・四国地区での最初のIP接続特を行うなど、任意団体として設立される以前の1989年-93年は特に思い出深い期間でした。JPNICの方針を機に1993年に任意団体の設立を迎え、6年間ほど劇的な普及拡大環境の中、様々な活動を展開しました。ここで、普及活動の一環として行った1994年9月10日のCSIフォーラムの様子ビデオでご覧頂きました。数百人規模の参加で実習形式の情報交換会を行い、その際、村井先生より「IPng」について、辰巳先生より「医療とインターネット」についてご講演を頂いたそうです。当時の講演資料や会場の模様をビデオで見て頂きながら、皆様の若々しい姿と熱意が伝えられました。

NPO法人を設立し、1999年から2007年の間は、教育現場でのインターネット環境構築支援と研究開発のテストベッド(JGN, JGN2)に参加してきました。2004年以降ISP事業の大部分アウトソーシングによりフォーカスを研究研修事業にシフトし、人材育成を目的に2005年以降18回有料・無料セミナーを実施しました。

設立当初の目的を達成し、2007年-08年にかけてNPO法人解散の準備に入りました。今後は「SuperCSI技術委員会」という形で協力支援活動を続けて行く予定です。この委員会は現在約15組織からなるユーザー会的な存在であり、今後広島地域のIPv6推進委員会と連携をとり、IPv6普及促進活動など今後のインターネットの発展に貢献したいと思います。また、現在のCSIのコアは2009年11月IETF Meeting の広島開催の地域中心活動メンバーになりますので、これまで通り今後の活動についてもご支援頂ければと思います。

今までたくさんの方々にご協力頂いた事への感謝と、引き続きIETFをはじめ今後の活動へのご支援をお願いし、講演を終えました。

懇親会会場風景 吉田 典可 氏

これまでのCSIへのご支援に感謝をこめ、シンポジウム終了後、同会場にて懇親会が行われました。はじめにCSI初期理事長の吉田 典可氏よりご挨拶を頂き、これまでの活動のご感想と今後のインターネットの発展についてお話を頂きました。その後は時間の許す限り、終始なごやかなムードの中、歓談が続けられました。

93年3月に発足、99年にNPO化され、15年間のCSI活動を締めくくる最後のイベントになりました。たくさんの方々ににいろいろな面でご協力をいただきました。誠にありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。

お問い合わせ先

CSI事務局 セミナー担当:宮本

セミナー専用Tel:090-7772-5114 (受付時間 平日10:00-18:00)
e-mail:seminar-sec[at]csi.ad.jp

主催:特定非営利活動法人 中国・四国インターネット協議会(CSI)